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仏教の葬儀は『大般涅槃経』には、お釈迦様の葬儀が遺言により古代インドの理想の王であった転輪聖王の凱旋式を模して執行されたとあります。これを手本として、この世における人生の役割を果たして生涯を閉じる時には涅槃の都への凱旋式が現在の葬儀式(お葬式)になったと考えられます。
真言宗では、真言宗の開祖であります弘法大師 空海により完成された即身成仏の世界に入る為の真言密教の儀礼の一つである”灌頂”によって構成をされています。死者を仏弟子として戒を授けて出家をさせて、僧名である戒名を授けて、密厳浄土へと導くのであります。
私たちは、真の親である仏さま(大日如来)から命を授かり、この世に生まれ、この世と縁が尽きれば、もとの仏さまの世界に帰るということになります。死別を悲しむ情は親族や友人であれば当然ですが、悲しみに埋没してしまう事は問題があります。故人が仏さまの世界に無事に生まれ変わる事を祈り、仏さまの功徳が備わる事を願うのです。この事により故人も自分も共に仏さまの世界にあると信じて、故人に対する祈りや願いを人生の糧として共に生きていく気持ちを持つ事が大切となります。
お通夜では『観音経』を、お葬式では『理趣経』を心を込めてお唱えさせていただきます。

真言宗の追善供養は盂蘭盆会や彼岸会がありますが、この他にも個々のご先祖様を供養する日忌や年回忌があります。
最初の初七日忌から七々日(四九日)忌までを中陰法要といい、その後、百ヶ日忌・壱周忌・三回忌・七回忌・十三回忌・三十三回忌を十三の仏様に導かれる形式により営まれます。現在では、これに十七回忌・二十三回忌・二十七回忌などもあります。更には遠忌といって五十回忌・百回忌を行う場合もあります。
四九日忌までの中陰法要は『阿毘達磨倶舎論』の中陰説をもとにして、『地蔵本願経』『灌頂随願往生経』『薬師如来本願経』により成立したものであります。これに日本において十三仏思想が加わり現在の年忌としての追善供養が行われています。
この追善供養において、ご先祖様となられた故人を偲ぶと共に、日々の生活を改めて見つめ直す機会としています。